たたまれて いても涼しき 日傘かな 福居三治
7月30日兵庫県丹波市で気温41,2度を観測し、全国の観測史上1位の気温を更新した。
従来の記録は、平成30年{2018}7月23日、埼玉県熊谷市と令和2年{2020}8月17日の静岡県浜松市の41,1度であった。やはり確実に地球温暖化が進んでいるのであろう。
さて、この暑さが続く7月31日夕方、滑川の伝統行事であり、国の重要無形文化財である「ネブタ」流しが市内中川原海岸{和田の浜}で行われ、多数の見物客が炎を眺めながら無病息災を祈った。当日は、市内9団体が手作りした10基が並んだ。
「ネブタ」と言えば、竹や木を使って紙貼りや、武者人形、鬼、鳥獣などを作り、中に灯をともして屋台や車に乗せて練り歩く青森や弘前{ネプタと称す}を思い出す。
しかし、滑川の場合は、藁などを材料にして7-8mの円柱状に製作された大たいまつを「筏」に乗せて,火をつけて海に流し、眠気やけがれ、病気を「ネブタ」に託し、火と水で消し去ろうと言う願いが込められていると言う。6時30分合図とともに10基の「ネブタ」の頂上に次々と火が付けられ、海に入った住民が「ネブタ」を乗せた「筏」を沖へ流す壮観な行事である。沈む夕日と赤々と燃え上がる「ネブタ」.一幅の絵になる風景である。
それ故、プロ、アマ、私のような素人のカメラマンに加え、スマホを片手にシャッター音が響き渡る。滑川市教育委員会発行の「滑川の民俗」によれば、「かって神家町、加島町、高月町でもあった。
また、明治維新の頃までは、6月30日に行なわれていた。この他、7月31日には水遊びをしたり、女性が洗髪すると風邪をひかないとか、この日以降、昼寝をすることをとがめられたと言う伝承もあった」と記してある。
全国的にみるとこの行事は、東日本に多く滑川はその南限と言われている。
いづれにしても「ネブタ」の形態は違ってもその目的は、人々の身体についた汚れを流し身を清め、無病息災を祈願する「禊払い」であろう。
昨今の薄れゆく地域の絆を考える上でも、伝統行事として,次代に引き継がれていって欲しいものである。
写真は、「ネブタ」流し。