初雪の 高嶺を裂きてみ空より
紅葉の中に落つる大滝 昭和11年秋・称名滝にて川合玉堂
紅葉前線は北から南へ 山から里へと降り始めましたが 立山の初冠雪の便りはまだ届いていません。平年では10月12日頃ですが、昨年は11月8日と富山気象台観測以来3番目の遅さでした。そのような季節の中、10月に入り2つの美術展が同時期に開催されました。
①10月11日ー19日まで、第72回滑川市美術展{会場・市博物館}
主催・滑川市 滑川市教育委員会
②10月12日ー19日まで、「酒蔵アート㏌なめりかわ2025」
主催・酒蔵アート㏌なめりかわ2025実行委員会・NPO法人滑川宿まちなみ保存と活用の会
①は市制施行以来72年の歴史を持つ美術界の一大イベントであり、一年に一度の作家たちの作品の発表の機会でもある。
それ故に、作家の創作意欲を高めるためにそれぞれの部門に、市展大賞・市展賞・市展奨励賞がある。
第一部「絵画」に39点。
第二部「彫刻・工芸」に20点。
第三部「書」に25点の多数の出品がありました。
②は「酒蔵アート㏌なめりかわ2025」と題し、今回で12回目である。
会場はかって造り酒屋あった旧宮崎酒造{国登録有形文化財}通称「ぼんぼこさ」を第一会場に第二会場を徒歩数分の所に、かって昭和40年前後まで旅館であった旧「嶋屋」で開催された。作品分野は,①写真 ②陶芸 ③裂織 ④造形 ⑤華 ⑥書 ⑦絵画 ⑧インスタレーションの8部門で多岐にわたり39点が出品されていた。
いづれも趣味とはいえ、趣向を凝らし、アイデア溢れる作品ばかりであった。私は、時々美術館で時を過ごすことがありますが、もし私たちの生活の中に芸術や音楽などがなかったら、どんな生活を営んでいるか。ふとそんなことを考える時、今から1万5千年前旧石器時代、スペイン北部サンタンデル近郊の「アルタミラ洞窟」に描かれた「トナカイ」「イノシシ」「牛」などの動物が1879年発見され世界的に有名になった。当時の人々の精神世界や生活観を表す貴重な資料で先史時代にも芸術があったことを示すものである。
ピカソは「人類がアルタミラを発見した時、すべての美術史が始まった」と語っている。
そして1985年世界遺産に登録された。つまり1万5千年前の原始人でも、芸術や美術という意識はないにしても「心の安らぎ」或は「心の豊かさ」を求めた。それが描くことであり、物と物とがぶつかった時、音が出る。それが打楽器になりやがて音楽の世界に繋がっていったと私は思う。そう考えると私は生活の中に芸術は「必要不可欠」と思う。
今回2会場を鑑賞しましたが、芸術の秋に相応しい内容でした。ただ会場入り口にある芳名録を見ると意外に市外の方が多いのには驚いた。折角の機会でありもっと市民の方も鑑賞すべきと思いました。
また、「書」の中で、俳句は縦書きと思い込んでいましたが、横書きでも結構いけると思いました。やはり柔軟な発想が必要な事を改めて感じました。
それは「越中の 山は輝く 秋の暮」野々江の句でした。
写真は、市美術展のパンプレット。第二会場の旧「嶋屋」。「書」野々江の句・阿波加蒼岳氏書{元・富山県書道連盟委員長・元・富山県美術連盟会長}。インスタレーション「真紅の椅子」手繰明子氏作。