猛暑が一段落し、秋の訪れを感じるようになりました。
田を見渡せば「こしひかり」の稲穂が頭を垂れ始め、実りの秋が近いことを気付かせてくれます。そんな季節の中、第49回富山県医薬品配置業者大会が8月18日県総合福祉会館、福祉ホールで約200人出席のもと開催されました。
第1回は昭和41年です。この頃、県内での配置従事者数は約1万人でした。今年、6月発表された県内の配置従事者数は860人です。全国では約2万人ですが、従事者数の多いのは、北海道1190人、愛知県925人、次いで、富山県が前年と同じ3位です。正に今昔の感ひとしおのものを感じます。
8月に入り、全国配置薬協会(塩井保彦会長)が会員を対象にした実態調査結果が発表になりました。それによると、顧客数に当たる「得意先軒数」は約2100万世帯と推計。複数の業者が同一世帯に薬箱を置いている「重ね置き」や事業所などの利用を差し引くと、得意先は推計約840万世帯で、全国約5500万世帯に対する普及率は12~15%で業界全体の売上高は非加盟を含むと、約2100億円といいます。
この数字をどうみるか?それは各人様々であろうが、ドラックストアの進出や薬のネット販売解禁など、業界は厳しい状況の中ではあるが、今なお、多くの人たちに利用されていることを示す数字と思います。
その理由は、今日まで300年間、先用後利、の精神のもと、一軒一軒家庭を訪問し「自らの健康は自らが守る」というセルフメディケーション推進の担い手として、顧客に健康情報を提供し、且つ家族の健康管理のヘルスコンサルタントとして健康の維持、増進に大きな役割を果たしてきたからだと思います。この役割は単に金額や数字で示せるものでなく、配置薬業の持つ大きな付加価値の一つであると思います。
折しも、平成27年度の国家予算は96兆3420億円で、この中で社会保障費は31兆5297億円、32、7%の比率です。これに対し、公共事業費6,2%,文教、科学振興費5,6%、防衛費5,2%、です。
社会保障費がいかに大きいか。加えて国の借金が1000兆円を超す現状から国は、医療介護、年金の分野にメスを入れ出しました。
そんな中、最近「未病」という言葉を良く耳にするようになりました。
未病とは、病気でないけれども健康ともいえないことです。つまり、健康な状態から病気になるまでの中間ということです。地域の人々が健康な生活を送るためには、病気が自覚できる状態になる前の未病の段階から積極的に予防することが大切なのです。
現在、地域医療を担っている人々の中で、この予防分野を担うことができるのは誰か?
私は、配置販売従事者だと思います。
なぜなら、配置業者は医薬品や医薬部外品はもちろん、栄養機能食品やサプリメントといつた予防に役立つ製品を取り扱っているからです。
しかも、一軒一軒訪問し、家庭の中に入って顧客の年齢や状態をコミニユケーション通じ充分把握できる立場にいるわけです。ゆえに、予防分野において地域医療の一員となり、地域に貢献できる職種であると思います。
医師は病院に来る人にしか情報提供することができません。
配置業の持つ特性を生かし、未病の分野こそ配置が担当し、生活習慣病といわれる、糖尿病やメタボリックシンドロームなどにも配置業者のアドバイスが期待されるのではないだろうか。
理想を言えば、予防段階でのアドバイスや軽症・中等症のプライマリ・ケアは、置き薬や薬局・ドラックストアが担い、診療所や病院には重症患者や急患の治療に専念できるような体制が望ましいと思います。
いずれにしても、配置薬業は健在であり、配置の特性を生かせばまだまだ発展の余地がある職業だと思います。
(*未病に関しては置き薬ハンドブックより一部引用。)
<第49回富山県医薬品配置業者大会の会場の様子>