10月11日{木}―12日{金}にかけて①清水寺、②重要文化財角屋{すみや}もてなしの文化美術館、③重要文化財・旧三井家下鴨別邸、④国立京都迎賓館などを旅行しました。主催・滑川音羽の会{会長・中屋一博}
今回の参加者18名。この旅のメインは清水寺の塔頭「滋心院」の本堂で3月2日―18日。10月5日―15日に普段は非公開の秘仏「大随求菩薩」{だいずいぐぼさつ}が222年ぶりに一般公開されるのに合わせて実施したものです。
当日は、清水寺・執事補大西英玄さんから説明を受けました。それによると、大随求菩薩は江戸時代の1728年{享保13年}に作られ、高さ約1.1mの木造の仏像。全身を金泥などで塗られ、頭に豪華な宝冠をのせ、8本の腕に蛇や剣などを持つ。全国の巡回展などで公開されたことはあったが、本堂では1796年{寛政8年}以来のこと。
また、今回は、通常は立ち入れない本堂内陣まで進み、厨子内に安置された姿を拝むことが出来ました。これは、日本最古の仏教巡礼路「西国三十三か所」が、今年草創1300年となるのを記念し、特別拝観が決まったものです。この菩薩像は国内で確認されている木造としては、清水寺と高台寺の高さ約20㎝の2体と軸に描かれた1幅位で極めて珍しいものだそうです。
それにしても仏様のお顔はどの顔も穏やかで癒されますね。
私は、少し欲張りで2度拝みました。尚、清水寺では、秘仏、千手観音像は33年に1度の御開帳と定められています。しかし、この大随求菩薩は特に規定はなく、森清範貫主の腹一つです。の説明には大笑いでした。
夕食は、前回は清水寺に近い日本画家、竹内栖鳳画伯の旧宅{SODU}でしたが、今回は、その近くの「アカガネ・リゾート京都東山」で森清範貫主、大西英玄執事補を迎え、和やかに、楽しい夕食会でした。会場は富山ではなかなか味わえない素敵なところであり、少々リッチな気分になりました。
以下、②③④について、簡単に紹介しておきます。
②角屋は島原開設当初から連綿と建物・家督とを維持しづけ、江戸期の饗宴、もてなしの文化の場である揚屋建築の唯一の遺構として昭和27年{1952}に国重要文化財に指定されました。揚屋とは、江戸時代の書物の中で、客を「もてなすを業とする也」と定義されているところによると、現在の料理屋・料亭にあたるものと考えられます。饗宴のための施設ということから大座敷に面した広庭に必ずお茶席を配するとともに、庫裏と同規模の台所を備えていることを重要な特徴としています。「花街」と「遊廓」の違い。
「花街」は歌や舞を伴う遊宴の町であり、一方、「遊廓」は歌や舞もなく、宴会もない。歓楽の町である。角屋を含めた島原の町は、和歌・俳諧等の文芸活動が盛んで、ことに江戸中期には島原俳壇が形成されるほどの活動を呈したという。故に、角屋は「花街」に属します。
「揚屋」と「置屋」の違い。
揚屋は太夫や芸妓を抱えず、置屋から太夫、芸妓を派遣してもらってお客様に遊宴をしていただくところです。揚屋は料理を作っていましたので現在の料亭、料理屋にあたります。ただし、揚屋は江戸時代のみで、明治以降、お茶屋業を兼務する置屋では宴会業務も行うようになりました。角屋は遊廓でも置屋でもなく、揚屋でした。幕末、各藩の京都藩邸の藩士や新選組隊士、或いは勤王の志士達など多彩な人物が利用し賑わい、その、足跡も残っていました。また、「もてなしを業とする也」の通り、各部屋の造りや内装がそれぞれ違い,まさに、贅の限りを尽くし、一部屋一部屋が美術館の趣を持った建物でした。一見の価値があると思います。
公開は、3月15日―7月18日 9月15日―12月15日まで
③重要文化財・旧三井家下鴨別邸、
下鴨神社の南に位置し、三井家11家の共有の別邸として三井家総領家第10代三井八郎右ェ門高棟{たかみね}によって建築されました。この地には明治42年{1909}に三井家の祖霊社である顕名霊社{あきなれいしゃ}が遷座され、その参拝の際の休憩所とするため、大正14年{1925}に建築されたのが、現在の旧邸です。建築に関しては、木屋町三条上がるにあった三井家の木屋町別邸が主屋として移築されました。
昭和24年{1949}には国に譲渡され、昭和26年{1951}以降、京都家庭裁判所の所長官舎として平成19年まで使用されました。近代京都で初期に建設された主屋を中心として、大正期までに整えられた大規模別邸の屋敷構えが良好に保存されており、高い歴史的価値を有していることから平成23年に要要文化財]に指定されました。尚、三井家初代三井高利は「現金売、賭け値なし」をモットーに呉服商越後屋を開業し、今日の三井財閥を築いた元祖です。
④国立京都迎賓館
日本の歴史、文化を象徴する都市、京都で海外からの賓客を心をこめてお迎えし、日本への理解と友好を深めていただくことを目的に平成17年{2005}4月に開館しました国の迎賓館です。日本建築の長い伝統と美しさを現代の建築技術と融合させる「現代和風」の創造を目指して設計されました。
東京にある迎賓館赤坂離宮とともに国、公賓などの賓客の接遇の場としての役割を果たしています。京都御所敷地内にあり、一度は見学して見るべき施設と思います。
写真は、清水寺森清範貫主と大西英玄執事補、大随求菩薩、角屋玄関前、旧三井下鴨別邸