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椿絵名品展

一日も おろそかならず 古暦 (虚子)

食欲の秋、スポーツの秋、芸術の秋、そんな言葉はもう死語なのかもしれません。年中、グルメ三昧、年中、何らかのスポーツ記事が新聞紙面を賑わし、芸術もまたしかりです。

12月9日の閉会を目前にした4日、高岡市美術館で開催中の「椿絵名品展 ―つばき咲く―」を鑑賞しました。これは、あいおいニッセイ同和損害保険の所蔵品から、近世から現代までの日本画、洋画、工芸における椿絵の名品約80点が展示してありました。
特に、驚いたのは、日本美術史上に名を残した作家ばかりの作品でした。横山大観、尾形光琳、緒方乾山、酒井抱一、川合玉堂、富田渓仙、堂本印象、山口蓬春、前田青頓、村上華岳、中川一政、小倉遊亀、北大路魯山人、上村松篁、夏目漱石、小林古径、竹久夢二、小野竹喬、中島千波、安田靫彦、堅山南風、岸田劉生、福田平八郎、高山辰雄、大山忠作など、これ等の作家が一様に「椿」を描いていたとは驚きでした。彼等は、椿のどこに魅力を感じたのか?説明には次のように書いてありました。

椿の字には「春を告げる花という意味があり別名を耐冬花」とも言います。そして、雪を被った椿は「雪待ち椿」として古くは室町時代の絵巻にあらわれ、冬の寒さに耐えながら春の到来を待つ清新な姿は椿の花ならではのイメージです。
そして、椿は生命力の強い花木ですが、その花の散りぎわは潔いとともに、はかなさをも併せ持ちます。そのために、画家たちは椿に胸中の花を想い、命を慈しむ幽玄で神秘的な観想をいただいたといいます。それらが、多くの画家や夏目漱石までの心をひきつけたのと思います。我が家にも椿がありますので、これからは少しは見方が変わるかもしれません。

次いで、帰路「あいの風とやま鉄道」水橋駅前「世界一かわいい美術館」を訪ねました。これは、NPO法人「憩いの家」が運営し年間5回ほど企画展を開催しています。
今回は、「秋景展」として42点展示してありました。ここも高岡市美術館同様有名作家ばかりで、奥田元宗、安田靫彦、川合玉堂、速水御舟、小杉放庵、司馬江漢、小倉遊亀、山口蓬春、奥村土牛、橋本関雪、勝海舟、そして去る11月1日滑川市名誉市民に推戴された下田義寛氏の「朝霧」加えて特別出品として、太刀、備前長船兼光などであり、特に、画家の名前を聞いただけもうっとりする作品ばかりでした。これが、入場無料ですから驚きです。ただし、善意の募金箱が置いてありますが・・・。

さて、私は、美術について全くの素人で作品を論評する資格はありませんが、椿一つとっても色々な見方、思いによって作品の出来ばえが違うし、秋とて同様と思います。想像力を逞しく働かせ、心豊かになるのが芸術の世界だと思います。
もし、人類にとって音楽や芸術がなかったら、私たちの日常生活は?と思うと、人類が心豊かな生活を送る為にも必要不可欠な世界と思います。いづれにしても初冬の美術館巡り、心洗われるひと時でした。

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