なかや一博 ブログ

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「院展」富山展

土の香の 濡れて春めく 庭なりし  稲畑汀子

2月12日富山県民会館美術館で開催されている、再興第107回院展富山展を鑑賞した。北陸3県持ち回りで富山開催は三年ぶりである。それにしても、芸術の秋、スポーツの秋と言われるが、その言葉はもう死語なのかもしれない。
院展の次は3月に、富山県美術館で棟方志功生誕120年展が開催されるし、4月に入ると2年に一度の「日展」も予定されている。又、県内各地の美術館でも年中芸術に関する企画展が開催されている。、スポーツも同様で大変有難いことである。

さて、今回の富山展は、パンプレットによれば、「日本美術院の主催する「院展」は日本画の公募展としては国内最大規模を誇ります。
本展では、令和4年9月東京都美術館で開催された「再興第107回院展」の出品作品297点の中から同人作品をはじめとして、受賞作品、富山県を含む北陸出身、在住の入選作品を中心に厳選された66点を展示し、今日の日本画の動向を広く紹介します。」とありました。

私のような素人には、作品を評価することは出来ませんが、どの作品も大作ばかりで、圧倒されますが、どことなく癒されるというか、ほっとする作品ばかりでした。中でも滑川市出身で名誉市民である下田義寛画伯の作品を鑑賞するのも目的の一つでありました。
画伯の作品は「塒」{ねぐら}とあり、バックの森の「塒」から大空に向って飛び出す「オオタカ」の雄姿が描かれ作品の左下に画伯の言葉が掲載されていました。

「大鷹(オオタカ)」大きさからでなく、羽根の色が青味がかった灰色をした鷹を意味する「蒼鷹(アオタカ)」に由来する尾羽が長いのが特徴、中型のからだは森の中で木々や茂みの間を飛行する際に有利であるほか、長い尾羽は空中でブレーキや方向転換に役立つ{ウィキベデイア参照。}中学2年の時、鎮守の森でアカマツの大木の高い場所に直経1m位のオオタカの営巣を発見し、ひそかに巣立ちまで見届けた。

あのわくわくと過ごした時間は今もはっきりと脳裏にやきつけられている。今アトリエには数羽のオオタカの剥製があり、特に大空へ舞い上がろうとする姿が気に入って何度も繰り返し写生する度に、あの時のときめきが鮮明に甦る。」とある。
オオタカは県庁正面3階にも立山・剣をバックとしたと思われる雄姿を含め何点かある。画伯のオオタカに寄せる思いの原点がここにあったとは始めて知った。何度か画伯と飲食を共にしたり、自宅を訪問した思い出がある私にとって、画伯の一層の活躍を願い会場を後にした。尚、富山県立の公共施設での高齢者の割り引き制度はない。他の都道府県ではある。他県の例も参考にして検討してもらえれば有り難いが・・・・。

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幾あまた 通り過ぎゆく 春祈祷

わが家では、先代{私が2代}の時から毎年2月11日は菩提寺の曹洞宗海恵寺{滑川市追分}の住職が来宅し、「大般若経祈祷会」{通称・春祈祷}を行う。今年も導師・松井知良方丈,副導師・積意寺住職によって行われた。

大般若経とは、広辞苑によれば「最大の仏典、600巻。般若波羅蜜{智慧・到彼岸}の義を説く諸仏を集大成したもの」とある。これを真読、または転読して除災招福や護国を祈るものである。
ゆえに、家族一同はもとより、分家した私の子供や孫たちもわが家へ全員集合である。

そして、住職が経典を読経し、今年一年の家内安全・無病息災・商売繁盛・交通安全などを、出席者ひとり一人の頭や肩などに読経しながら経典をあて祈願し、併せて先祖の供養もするのである。この様な仏事は多分禅宗だけでなかろうかと思う。住職によれば最近は、檀家の中でも春祈祷を行う家は、減少しつつあると言う。

かって御寺は地域の人々にとって心の拠り所であった。しかし、昨今新築の家は、仏間も神棚もない時代である。しかも、戦後数多くの新興宗教団体が現れた。これは既存の宗教団体の日常活動の怠慢とまでは言わないが、これから先20年30年後、果たして御寺の存在はどうなっているだろうか。甚だ心元ない限りである。やはり御寺も人が集まってくる。或は人を集めることも考えるべきでないかと思う。住職にはそのように話をしたが頷いておられるだけだった。

いづれにしても終了後、家族全員で場所を変え昼食を取り、わが家の絆を確認して散会した。

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