なかや一博 ブログ

日別アーカイブ: 2024年2月5日

藤井聡太8冠対伊藤匠7段

昨年2023年10月11日、第71期将棋王座戦5番勝負第4局が京都で開催され、3勝1敗で勝利し、藤井聡太8冠が誕生した。21歳の若者が将棋のタイトルを総なめにした二ユースは、将棋界の枠を超えて日本中の注目を集めた。
ただ、全冠制覇という意味では、1996年当時の7冠を羽生善治9段も達成している。

ただし、藤井棋王の場合は特筆すべき点が2点ある。
①登場した19回のタイトル戦で一度も敗れることなく8冠を達成したこと。
②タイトル戦のみならず、4つの一般棋戦でも優勝、出場できる12の棋戦すべてを制していること。
完全制覇であり、まさに「藤井1強」である。

そんな8タイトルを独占する藤井聡太棋王{21歳}竜王、名人、王位、叡王、王座、王将、棋聖に初タイトルを狙う、伊藤匠7段{21歳}が挑戦する第49期棋王戦5番勝負第1局が2月4日{日}新川文化ホールで開催され、その大盤解説会に、へぼ将棋を自負する私も参加した。

立会人は森内俊之9段が務め、解説者は地元魚津市出身の村田顕弘6段{37歳}、富山市出身・服部慎一郎6段{24歳}同市出身・野原未蘭女流初段{20歳}の3人の富山県出身者が戦況を分かりやすく解説された。
対局は午前9時から文化ホール内、別室で始まり、大盤解説会は大ホールで、別室から中継する形で行われた。しかし、午前中は早いペースで進み、10時30分頃には、80手まで進んでいたという。

大盤解説会が始まる午後1時には1200名の座席はほぼ満席であった。しかし、解説が始まった時は、解説者の話では戦況は終盤の様相だという。だが、ここからが中々手数が進まない。ステージ上のスクリーンに映し出される対局室の風景には、藤井棋王が何度も身を前傾姿勢にし長考にふけるシーンが映り出される。

この時、入場時に貰った次の一手を記入し係に手渡す。伊藤匠7段の次の一手であったが、これは解説者2名がそれぞれの案をA案、B案、それ以外のc案の3案から1案を選び、正解者から抽選で藤井棋王の扇子、色紙、それに当日出席の各棋士の色紙計7点が2度プレゼントされた。私は2度挑戦したが次の一手は2度とも外れた。2名のプロ棋士の予想も2度とも外れたのは意外であった。

当選者の中には遠く静岡や東京からの人たちがいたことにも正直驚いた。藤井フアンの追っかけなのか、それとも純粋な将棋フアンなのか・・・・
1時解説が始まったが、2時頃には解説者がこのまま進めば、持将棋になるのでは。と発言しだした。結果は5時35分129手で予想通りタイトル戦では珍しい「持将棋」となった。

少し古い話で恐縮ですが、昭和40年代後半、私は宮城県塩釜市周辺を回商していた折、宿泊旅館の近くの地区公民館で「中原誠名人の集い」があり、会費はお菓子付きで300円で誰でも入場出来たので私も参加した。
その中で特に印象に残ったのは、会場の人からの質問コーナーで、小学生と思われる児童が,なん手位先を読むか、との問いに、序盤、中盤、終盤では違ってくるが、やはり中盤から終盤にかけてであり、約120手位を3通り、それを3回復唱するとの答弁には正直ビックリした。
この時は約120分の長考とのこと。また、次の一手の正解者に抽選で「中原誠の自然流」の本がプレゼントされた。永世十段を含め5つの永世の称号を持ち、通算1308勝は羽生、大山、谷川、加藤一二三に次いで、歴代5位。

大山康晴・永世名人を含め5つの永世の称号を持ち、タイトル獲得80期。この人とお会いしたのは、昭和57年黒部JC5周年記念の記念講演講師として黒部においでになった時で、中原誠の集いに、質問した児童と同じ様な質問をしたところ同様な答えであった。
ところが平成18年{2006}10月5日魚津第一インで開催された、羽生善治講演会で控室で彼とお会いした。現在彼は無冠の帝王であるが、日本将棋連盟会長である。ご存知の通り25歳で、当時のタイトルすべてを制覇し、7冠王{名人,竜王、王位、王座、棋王、王将、棋聖}でしかも、47歳で7大タイトル全ての永世資格を得て将棋界初の永世7冠を達成した。

現在でもタイトル獲得99期は1位であり、2位大山康晴80期、3位中原誠64期で羽生善治氏はダントツである。この記録を破るとすれば、やはり藤井聡太8冠であろう。

さて羽生善治さんとお会いした時、彼は36歳でまだ3冠を持っておられた。この時も同様な質問をしたところ意外な答えであった。彼は多少手数は読むが、最後は直感である。その直感が最も冴えるのが、10代半ばから20代半ばであり、以降直感が衰える分は、経験でそれをカバーするとの答えだった。事実彼は25歳で7冠を達成しているし、藤井聡太8冠の年齢を見ても納得できる様な気がする。しかし、その裏には、詰め将棋やコンピューター将棋など,たゆまぬ努力と研究、それに裏打ちされた直感であろうから、常人の及ばぬところである。それにしても始めての体験である大盤解説会であったが、大変よかった。

尚、いつも話題になる「将棋めし」は藤井棋王は魚津産ベニズワイガニを贅沢にのせた「スパイシーカレー」.伊藤7段は,バイ飯や氷見牛のローストなどが楽しめる松花堂弁当。また、午前と午後の2回のおやつは、藤井棋王が「いちご大福」。伊藤7段が「加積りんごのタルトタタン」午後は伊藤7段が「いちご大福」。藤井棋王は「加積りんごの果汁100%のジュース」などの飲み物であった。

そして、いつも思うことだが、藤井聡太さんと大谷翔平さんの、己の善を語らず,他者を批判しない。常に謙虚な姿勢には感心する。両親はどんな教育をされたのか。機会があれば是非ともお聞きしたいものである。
写真は、新川文化ホールステージ上の大盤解説会。対局風景。会場に飾られた藤井聡太8冠の色紙。大山康晴氏。羽生善治氏。

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