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満月と中秋の名月

名月を 取ってくれろと 泣く子かな   一茶

9月21日は満月と中秋の名月が重なった。我が家でも、19時30分頃からは雲間に見え隠れする満月を、23時頃からはくっきりと現れた満月に暫し見とれた。ただ、月齢によって、旧暦15日が満月になるとは限らないが来年と再来年は同一日である。

先日知人から俳句の季語を集めた季語集「季寄せ」の中から、月に関する資料を頂いた。
それによると、月の名称が実に多くあるのに驚いた。
①上り月…上半月が次第に丸みを加え満月になるまで
②下り月…満月から一夜ごとに欠け始めてゆく月{下弦の月}
③十三夜…満月の2日前をいう。中秋の名月と翌月の十三夜をともに楽しむ風習が、後に日本で生まれた。どちらか一方のみを眺める月を「片見の月」と呼び、忌み嫌った。
④待宵…陰暦8月14日の夜の月.古人は満月前夜のこの月を「宵待月」と呼んだ。
⑤名月…陰暦8月15日の夜の月
⑥良夜…十五夜の月の夜
⑦十六夜…陰暦8月16日の夜の月。満月の翌日の月
⑧立待月…陰暦8月17日の夜の月。立って待っているうちに出てくるの意。
⑨居待月…陰暦8月18日の夜の月。座って待って居れば出てくるの意。
⑩寝待月…陰暦8月19日の夜の月。月の出るのが遅く寝て月を待つ意。
⑪更待月…陰暦8月20日の夜の月。夜が更けて出る月を待つの意。
⑫真夜中の月…陰暦8月23日の夜の月。
⑬後の月…陰暦9月13日の夜の月。
⑭有明月…夜明けになお空に残っている月。

これ以外にも、朧月夜など本当に月を表す言葉は多い。
日本人は、美しい満月も、翌日には欠けてゆく、そんな月にも無常の美しさを見出した。
古人の豊かな感性と繊細な美意識に加え、俳句や短歌によって語彙がより豊かになった。これが日本語の素晴らしい点であり、外国語では到底表現出来ないことである。英語を始めとし外国語の普及は当然としても、日本語は守っていかねばならない母国語である。

さて、旧暦、太陰太陽暦では7月から9月までを秋とし、その真ん中、8月15日{十五夜}の満月を「中秋の名月」と称し、芋や団子を供えて秋の収穫を月に感謝したという。春は花見、夏は花火、秋は月見、日本人が愛する折々の情趣の中では、秋の月見は消えつつある。しかし、我が家では、スーパーでお団子を買い、ススキとともに仏壇に供えて、カーテンに切り絵ではあるが、月、うさぎ、雲などを貼り付け家族で団子を食す。孫に「月にウサギが居て餅つきをしている」と言っても相手にもしてくれない。

考えてみれば、中国の月無人探査機「じょうが4号」を世界で初めて月の裏側に着陸させたり、日本の「はやぶさ2号」が惑星「りゅうぐう」から岩石を採取し地球に持ち帰る時代である。しかし、どんな時代になっても、日本の良き伝統、文化、美しい日本語などは残していかねばならない。満月を眺めながら、ふとそう思った。

写真は、我が家の2階からの19時30頃と23時頃の満月。

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