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第4期皇居三の丸尚蔵館展

みがかずば 玉も鏡も何かせむ 学びの道も かくこそありけり  昭憲皇太后

スポーツの秋、食欲の秋、芸術の秋、こんな言葉はもう死語になりつつある。スポーツでは、今年は特にパリ五輪出場の予選があり、加えて、大相撲、そしてプロ野球や大リーグの大谷フィバーなど一年中スポーツ番組がテレビで放送されている。
食べ物も、いちご、スイカ、メロンなど栽培技術の向上により、年中何でも食べれる時代で季節感も失われてきている。芸術にしても、秋に限らず年中各地の美術館や博物館で企画展が開催されている。しかも以前なら、大都市でしか鑑賞出来なかった企画展も、今や地方都市でも頻繁に開催されるようになったことは有難いことである。

5月23日上京の折、皇居三の丸尚蔵館の名品展を鑑賞した。これは、「―皇室のみやび―受け継ぐ美ー」のテーマのもと、昨年11月3日から今年の6月23日まで4期に分け、1期は「三の丸尚蔵館の国宝」2期は「近代皇室を彩る技と美」3期は3月に鑑賞した「近世の御所を飾った品々」で今回は4期「三の丸尚蔵館の名品」である。
残念ながら1期は見逃したが、2-4期は鑑賞した。入館は事前申込制で、入館料は大人千円である。しかし、70歳以上の証明書を提示すれば無料である。国立美術館や博物館など高齢者であっても無料の施設はないと思う。さすが宮内庁である。

さて、皇室は、我が国の長い歴史の中にあって、いつの世においても、様々な形で我が国の芸術文化に接してきた。古くは、奈良時代、光明皇后が聖武天皇の供養のために東大寺盧舎那仏に奉納された正倉院宝物、平安時代の華やかなりし12世紀の後白河法皇の蓮華王院宝蔵、江戸時代初期の後西天皇以降の東山御文庫など、文化史上に残された歴代にわたる皇室の足跡は数多くある。

そして、明治維新後も、古美術品の保護や新しい文化振興のためにも尽力され、帝室博物館の建設などもあって、国民に広く文化を普及させることにもなった。これらのことから、国内外から多くの優れた美術品が集まる事になった。これらの品々は宮殿など公式の場の装飾品などとして主に使われ、天皇陛下・皇族方が身近で私用になるほか,帝室博物館建設後には、博物館での展覧にも供されていました。

御物と称されたこれらは、用途によって分散管理されていました。戦後、それまで御物であった法隆寺献納宝物の大多数が国有となり、東京国立博物館へ移管されたほか、正倉院宝物や書陵部所管の品々も国有となって宮内庁で管理されるなどの整理が図られましたが、なお一部は御物として残され、侍従職で管理されてきました。

平成元年{1989}6月、上皇陛下及び香淳皇后は、昭和天皇まで代々皇室に受け継がれてきた御物の中から、約6千余点の絵画、書、工芸品などを、国へ寄贈された。これらの寄贈品は、一括して宮内庁で管理することになったが、優れた美術品が多く含まれているため、その保存管理に万全の策を講じるとともに、広く国民に公開するために、専門の建物、組織を設置することになり、建物は平成3年{1991}1月着工、同4年{1992}8月竣工、三の丸尚蔵館と名付けられ、ここに作品を収蔵することになった。

同5年{1993}11月3日より一般公開が始まった。その後平成8年{1996}に旧秩父宮家からの御遺贈品が、平成13年{2001}には香淳皇后の御遺贈品が、同17年{2005}には旧高松宮家からの御遺贈品が、さらに同26年{2014}三笠宮家からの御遺贈品が加わりました。収蔵品には、平安時代の書の逸品、「粘葉本和漢朗詠集」「金沢本万葉集」鎌倉時代の絵巻「春日権現記絵」「蒙古襲来絵詞」のほか狩野永徳筆「唐獅子図屏風」。狩野探幽筆「源氏物語図屏風」。伊藤若冲筆「動植採絵」。近代では横山大観、下村観山、並河靖之、高村光雲らの作品など、各時代を代表する貴重な作品が数多く含まれています。

三の丸尚蔵館の建物は、これらの貴重な作品を恒久的に伝えていく為の保存を重視することから、温湿度管理のできる収蔵庫を備え、一部を展示室として公開しています。

尚、館名の「尚蔵」は古代律令制において蔵司{くらつかさ}の長官{くらのかみ}をさし、大切に保管するという意味と、建設場所が旧江戸城三の丸の地であることから名付けられました。
主な収蔵品は前述した美術史的、歴史的に高い評価を得ている作品や、京都御所伝来の超一級品の品々ばかりで、現在約2万点の作品を収蔵している。いづれも皇室の長い歴史と伝統の中で培われ、伝えられてきた品々でした。

写真は、国宝・狩野永徳筆「唐獅子図屏風」右隻。国宝・伊藤若冲筆・動植綵図「老松孔雀図」。横山大観作6曲一双「朝陽霊峰」左隻の富士。

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