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伝統の「置き薬」の心を世界に

見られいて 種出しにくき 西瓜かな 稲畑汀子

8月27日午後7時30分―9時まで、富山県民会館ホールで富山発祥の配置薬をアフリカの人達に普及させようと活動する薬剤師でNPO法人アフリメディコ代表・町井恵理さんを招いての講演会とパネルディスカッションが開催されました。
講演の内容は町井さんがこの事業に乗り出したのは、「青年海外協力隊員としてアフリカニジェール共和国で活動したことがきっかけ。」、「一時的な活動ではなく、持続可能な活動をつくらないと、本当の貢献にならない」と痛感した。
帰国後、経営大学院に入り事業モデルを研究する中で、ひらめいたのが「富山の置き薬」だった。「先用後利」の仕組みは、素晴らしいシステムで、薬箱を届けた村の人たちから「安心感がある」という喜びの声が次々と寄せられた。人助けの心から生まれた伝統の仕組みが、富山ブランドとして世界に広がっていけばこれ程嬉しいことはありません」。等、内容の濃いお話でした。町井さんは、平成27年法人を設立し、現在アフリカタンザニア共和国に「置き薬」を広める活動を進め、10年後には10万所帯への普及を目指しているとのことでした。

次いで、「先用後利」の理念による配置薬システムを生んだ越中富山の精神文化を医療関係者と共に語り合うパネルディスカッションに移りました。パネリストとして、富山県立病院内科部長・松田耕一郎医師。真生会富山病院院長・真鍋恭弘医師。明生薬品工業(株)代表取締役社長・豊田博保氏、それに私の4人です。
それぞれの立場で意見が述べられましたが、私は、冒頭配置薬業に全く関係の無い町井さんの活動に対し業に携わる者の一人として敬意と感謝の言葉を述べてから、配置業の300年の歴史を話し、自分の健康は自分で管理する「セルフメディケーション」の旗手として、地域に密着し住民の健康づくりや病気の予防に貢献してきたこと。また、昨今、国家財政の中で肥大化する医療費や顧客家族のヘルスケア等を考えると「置き薬」の果たす役割は益々大きくなるだろうことを話しました。

尚、「置き薬」のシステムが海外で初めて採用されたのは、2004年当時のモンゴルの大統領が来日の折、日本財団の笹川理事長から紹介され、2006年モンゴルより富山へ医師や関係者が訪れ、日本財団の支援を受けて研修を重ねモンゴルで実施。2012年事業が軌道に乗り、財団からモンゴル政府に移管され、、現在約2万所帯に配置しているという。
その後、ウランバートルで開催された WHO総会でその取り組みが紹介されたことにより現在、ミヤンマー、タイ、、ベトナムなどでも実施中です。私は、最初「富山の売薬」と「アフリカ」意外な組み合わせに思えましたが「利他」の心で全国を歩いた「薬売り」の精神がそのまま国際援助に繋がるというのは、自然な成り行きなのかもしれない.草葉の陰で、前田正甫公も喜んでいることと思います。

主催・富山県いみず市を世界に発信する会{矢郷良明代表}
後援・富山県・射水市・北日本新聞社・{一社}富山県薬業連合会
当日は、コロナ禍の為、ソーシャル・ディスタンスとして入場者は200名ほどでした。

町井恵理さん略歴
昭和52年、大阪生まれ。薬剤師。外資系製薬会社で6年間勤務後、青年海外協力隊としてアフリカニジェール共和国で2年間医療ボランティアに従事。現地での経験から医療環境を持続的な仕組みで改善したいと考え、経営大学院へ進学。
平成27年NPO法人アフリメディコ設立。

主な受賞歴
平成28年 人間力大賞受章。
平成30年 日経ソーシャルビジネスコンテスト 海外支援賞受賞。
令和元年 日経ビジネス「世界を動かす日本人50人」選出等

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