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京都清水寺・森貫主講演会

散る桜 残る桜も 散る桜  良寛

染井吉野から八重桜へと移り行く中、4月17日{日}恒例の清水寺森清範貫主を講師にお迎えしての市民文化講演会{主催・滑川音羽の会会長・中屋一博}が市民大ホールで開催された。昨年、一昨年と新型コロナウイルスの為、中止となり今回は3年ぶりの開催となった。
会場では、コロナ禍の為「マスク着用」「咳エチケット」「手指消毒」等、感染防止対策を徹底しての開催でした。

前講の清水寺執事補・大西英玄氏に続き森貫主が「清水寺平成の大修理完成す」と題し、講演。貫主は、国宝本堂を始め、13年の歳月を掛けた大修理を振り返り、寛永6年{1629}成就院から火が出て、ほぼ全焼したが、三代将軍家光公が再建を発願し、わずか4年で堂塔伽藍を再建した。
その後、堂の復興と共に成就院の庭園が整備され、名石、名木を配し、巧みに借景を取り込む工夫を凝らし、特に月に照らされる光景が絶妙で「月の庭」として有名になった。これに左京区の妙満寺の「雪の庭」と北野天満宮の梅苑の「花の庭」が京都の三名苑「雪月花」と言われた。しかし、北野天満宮の梅苑が荒廃して、いつの間にか三名苑は雪月の二苑となった。

しかし、近年この梅苑が整備され、今年1月森貫主も出席し、北野天満宮で三苑奉告祭が行われ再出発が祝われたと言う。取り分け、三名苑の中でも清水寺成就院の「月の庭」は最高とのこと。私も何度か成就院の庭園は見学していますが、残念ながら昼ばかりでした。次回は是非とも月の庭を眺めて観たいものです。
また明治元年神仏分離や上地令で清水寺の寺地が十分の一に減少した時の苦労話や明治30年に本堂が国宝に指定され、本堂屋根が檜皮葺に葺き替えられ、以後約50年に一度行われ、今回の大修理でも葺き替えられたと言う。

話題は、ウクライナとロシアの問題にもふれ、両国の歴史から紐解き、文豪トルストイの日露戦争について書いた論文を引用し「東西を隔てた人々を見るといい。一方は、一切の殺生を禁ずる仏教徒であり、一方は世界中の人々は兄弟であり、愛を大切にするキリスト教徒である。今こそ汝の敵を愛せよ。とキリスト教は教えたのではないか」と貫主は話され、お互いに信頼関係を構築して保っていかねばならないと力説されました。

時々ユーモアを交えながらの話にあっという間の一時間でした。会場を埋めた多くの方々から来年も是非との声が寄せられました。

講演会終了後、厚生連滑川病院中庭にある、自噴している孝徳泉と言われる小さな泉の脇にある了安のお墓に、京都から持参された清水寺音羽の滝の水をお墓に掛け、森貫主と大西執事甫によって読経があげられました。

私は、冒頭挨拶の中で、滑川と清水寺との縁にふれ、民話「孝徳泉」の了安と安静親子の話を会場にいた約150名の方々に、ご存知の方に挙手を求めたところ約半数でした。そこで、改めて孝徳泉の謂れを簡単に説明しました。

文禄2年{1593}美作の了安と安静親子が安静の母の菩提を弔うため阿弥陀如来を担ぎ全国を行脚中、滑川の尾張屋に投宿。
その夜から発病。死を悟った了安は息子安静に清水寺の音羽の滝の水が飲みたいと言う。安静は京へ行き清水寺の音羽の滝の冷水を汲み持ち帰ったが既に了安は亡くなっていた。了安が埋葬された所で泣き崩れる安静に阿弥陀如来が現れて、折角の冷水、たっぷりと父に飲ませて上げなさいと告げて消えたという。

音羽の滝の冷水を掛けたところ、そこからこんこんと冷水が湧き出てきた。この親子の美談を聞いた地元の人々が後年、これを「孝徳泉」と名付けて今日まで大切に維持、管理され現在、厚生連滑川病院中庭にある。
また、親子が背負っていた、阿弥陀如来は尾張屋に安置されていたが、元禄年間、阿弥陀如来が尾張屋の主人の枕元に現れて広際寺へ行きたいと告げたという。現在、広際寺の本尊として祀られている。

簡単に説明すると以上である。これが広際寺縁起として巻物として残っている。私も本尊や巻物は見せてもらったことがある。また、250年余経った天保14年本町桐沢家の先代綿屋五郎衛始めてこれを聞きたる形跡を存す。これが桐沢家記録として現存する。
これ等のことが、大正2年発行の滑川町誌に詳細に記されている。
また、昭和8年富山県女子師範学校附属小学校編、終身ー「郷土の例話」昭和13年コドモ芸術学園発行、「伝説美談」。昭和61年滑川市教育委員会発行「滑川の昔ばなし」の中に収められている。昨今の世情を見ると、親が子を、子が親を簡単に殺すニュースが余りにも多すぎる時こそ、義務教育の中で取り上げるべきと思う。

翌日、わが家で休憩後、来年の再会を約し京都へお帰りになった。今回の講演会は25回であり、森貫主曰く、25回も毎年同じ所へ行っているのは滑川だけであり、2年ぶりに県外の講演に出かけるのも滑川が最初である。の言葉には、感謝しかありません。

写真は、挨拶の私、前講の大西執事補,、講演の森貫主,わが家でのスナップ写真

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