なかや一博 ブログ

月別アーカイブ: 2020年3月

三館巡り

立山連峰 肩組み合って 山笑う

3月12日{木曜日}雲を探すのに苦労するくらい青空が広がり、残雪輝く立山連峰を眺めながら私用で富山へ出かけました。
その折①富山市売薬資料館、②富山市篁牛人記念美術館、③三島由紀夫・隠し文学館「花ざかりの森」を見学しました。

▼富山市売薬資料館
これは、富山売薬商人は商売の前にはどのような準備をしていたのか,あるいは、商売先へ行くまでの旅はどんなものであったのか、、など、江戸時代の状況をたどる企画展でした。
大別すると次のようになります。

㋐売薬人として雇用され、旅立ち商人となる。
㋑旅立つ際に必要な書類。
㋒出発前の準備、持ち物。
㋓商売先への行程。

などで企画展示場・別館旧密田家1階展示場で約40点の資料が展示してありました。
我が家でも、私が小・中学生時代の昭和30年代3人の配置員を雇用していました。旅立つ数日前から旅先の旅館へ発送する「薬」を木箱に入れ荒縄で縛り、全員で大八車かリヤカーで当時の国鉄滑川駅へ運んだのを憶えています。
その時、乗車券を提示する事によって割引制度のあるチッキと呼ぶ方法がありました。
また、出発日は午後から我が家で、全員で夕食を共にし夜行列車で旅立つ姿を見送ったのを思い出します。出張先は秋田方面でしたので、新潟県新津駅で乗り換え翌日午後に目的地に着いたとのことでした。
日頃、見れない資料も数多くありとても良かったです。
企画展は4月19日まで。930-0881富山市安養坊980 富山市売薬資料館☎076-433-2866

▼富山市篁牛人記念美術館
この美術館は丁度売薬資料館の向えにあります。パンフレットによれば、「卓越した技術によって独自の画境を創出し、日本画壇の中でも、ひときわ異色の存在として注目される水墨画家」とし、また、「篁牛人は、日本や中国の故事・伝説などを主な画題として、形容しがたい緊迫感と高遠な精神世界を画面上に展開した画家であります。
彼は渇筆技法と弾力ある長く細い線描を駆使して、豪放で美麗な独自の水墨画世界を構築しました。
また、自然を深く掘り下げた所で自己を見つめ続け、東洋の精神性とされるものをその生涯と画業を通じて一貫して追い求めた」とあります。

今回の館蔵品展は「虎渓三笑」
虎渓三笑は水墨画の画題の中でも有名な故事です。中国の文人逸話に基づいたもので、虎渓という橋を渡る3人が大笑いしている様子が描かれています。
晋の時代、蘆山の東林寺にて隠居の身であった慧遠法師を2人の詩人陶淵明と陸修静が訪ねました。
別れに見送りますがお話に夢中になって、俗界に通じる橋を日頃から避けていたにもかかわらず渡ってしまい、虎の吠える声で気が付いて大笑いしたというもの。
篁牛人はたびたび人物3人と虎を速描きで仕上げました。本展ではユニークな大笑いする様子の「虎渓三笑」を中心に、虎が描かれた作品も展示します。(パンフレットより。)

以前、テレビのお宝探偵団で篁牛人の大作が出品され、数百万円の値がつけられました。
鑑定人曰く、篁牛人の作品は素晴らしい。残念ながらローカルの作家である。オール・ジャパンの人だったらもっとするだろう。と、言ったことを思い出しました。
私には作品を論ずる資格はありませんが、これが芸術か、との思いで鑑賞してきました。
館蔵品展は5月16日まで。〒930-0881 富山市安養坊6000 ☎076-433-9215

▼隠し文学館「花ざかりの森」
この文学館は、三島由紀夫に特化した文学館で、この種の物は全国に、山中湖の文学の森にある三島由紀夫文学館と2ヶ所だけです。しかし、「花ざかりの森」は杉田欣次館長が富山市役所を定年退職後,私財を投じ建設された個人の文学館です。
杉田氏が大学時代に読んだ三島由紀夫の「金閣寺」に感動し、以来三島フアンになったそうです。館名「花ざかりの森」は、三島由紀夫が19歳で出版した第一著作集の題名をご遺族の了解を得て館名としたとのことでした。

現在、三島自筆の原稿や初版本、限定本{署名入り}、初出雑誌、写真集、原作・出演・関連映画演劇の上演台本・ポスター・チラシ・スチーム写真・レコード・カセットテープ・DVD・対象作家評論など千点を遥かに越える資料を保管しているそうです。
個人でこれだけの資料を収集・保存・展示されることは中々容易なことではないと思います。平成19年11月、正式に全国文学館協議会に入会し、翌年、平成20年3月1日開館。
杉田館長の三島に寄せる熱き思いが、個人所有とは思えないほどの瀟洒な素敵な文学館です。是非,お立ち寄りをお薦めします。

今回の企画展は、三島由紀夫没50年記念、三島由紀夫の歌舞伎展として開催されました。
パンフレットによれば、「三島由紀夫の歌舞伎台本は6作あり、日本舞踊劇3作を含めると9作になる。三島の新作歌舞伎は誰言うともなく「三島歌舞伎」と称され同時代の他の作家と識別された。晩年の「椿説弓張月」まで、いづれも「擬古典主義」によって裏打ちされており、他の近代新歌舞伎とは際立って異なった作物であった。徹頭徹尾古典主義を貫いた三島の、歌舞伎との出会いから晩年の三島由紀夫の歌舞伎までの軌跡を辿る。」と、記してありました。三島の多彩な一面を見た思いでした。            
以前、私は陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地を訪ねたことがありました。極東軍事裁判が行われた講堂や地下防空壕、そして演説をしたバルコニー、自決した総監室などを見て来た者として今回の企画展は感慨深いものがありました。

折しも、三島が自決した1970年{昭和45}11月25日の前年に東大全共闘と繰り広げた討論会を題材にした「三島由紀夫vs東大全共闘、50年の真実」のドキュメンタリー映画が完成し3月20日から全国公開されるという。楽しみです。
三島由紀夫略歴 大正14年、東京生まれ。本名、平岡公威{きみたけ}、学習院高等科より東京大学法学部卒。十代から小説を書き始め、昭和23年文学活動に専念する為、大蔵省退官。昭和45年自決。45歳。

今回、勝手に「三館」巡りとして全く違った施設3館を拝観しましたが、これも、趣があって良かったと思いました。

写真は、①旅立つ売薬商人 ②篁牛人・虎渓三笑 ③三島由紀夫昭和15年学習院中等科の時の写真とパンフレット。 

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新規配置販売従事者研修

頑なに 富山売薬 春の風邪
誰の句か忘れましたが、私の好きな句の一つです。

さて、これからの配置販売に従事しようとする方を対象に、合計60時間{6時間×10日間}の普通課程の研修を年3回実施しています。この過程は、富山県にお住まいの配置従事者が初めて仕事をする際であっても、くすり等に関する知識を一定以上持って頂く為に実施している初任者向けの研修です。

配置従事者は業務に従事する場合は、住所地の都道府県知事が発行する身分証明書を携帯しなければならないことになっていますが、かって富山県では、この研修を受講していることを確認してから身分証明書が発行されていました。法的に受講させる強制力はありませんが47都道府県でこの様な研修をしているのは富山県だけです。
それだけ、富山県では地場産業である薬業を重視している表れと思います。

2019年度最後の研修が3月2日{月}から始まりました。研修内容は下記の通り。

3月2日{月}
9時―12時 オリエンテーション 配置薬業の歴史
13時ー16時 先用後利と接客 配置販売の倫理 懸場帳について

3月3日{火}
9時―12時  第1章 医薬品に共通する特性と基本的な知識
13時ー16時 第2章 人体の働きと医薬品 人体の構造と働き ①内臓器官 ②感覚器官

3月4日{水}
9時―12時 第2章 人体の働きと医薬品 人体の構造と働き ①運動器官 ②脳や神経の働き
13時ー16時 第2章 人体の働きと医薬品 ①薬の働く仕組み ②副作用

3月5日{木}
9時―12時 第4章 薬事に関する法規と制度
13時ー16時 第5章 一般用医薬品の適正使用と安全対策

3月6日{金}
9時―12時 第3章 主な一般用医薬品とその作用 ①精神神経に作用する薬
13時ー16時 第3章 主な一般用医薬品とその作用 
          ①胃腸に作用する薬 ②心臓などの器官や血液に作用する薬  

3月9日{月}
9時―12時 健康食品について 薬事法関連法規について
13時ー16時 第3章 主な一般用医薬品とその作用
      ①排泄の部位に作用する薬 ②鼻に用いる薬 ③眼科作用

3月10日{火}
9時ー12時 第3章 主な一般用医薬品とその作用 ①呼吸器官に作用する薬
13時ー16時 第3章 主な一般用医薬品とその作用
      ①滋養強壮保健薬 ②漢方処方製剤・生薬製剤

3月11日{水}
9時―12時 第3章 主な一般用医薬品とその作用
     ①禁煙補助剤 ②公衆衛生用 ③一般用検査薬 ④医薬品・食品の相互作用
13時ー16時 第3章主な一般用医薬品とその作用 ①皮膚用薬 ②歯や口に用いる薬

3月12日{木}
9時―12時 第3章 主な一般用医薬品とその作用 ①婦人薬 ②アレルギー用薬
13時ー16時 金岡邸等見学

3月13日{金}
9時ー12時 配置用医薬品について ①薬用植物・生薬について
13時ー16時 修了試験 試験の解説 修了式

以上が普通課程ですが、これ以外に
①既存配置従事者研修
②登録販売者等研修
③特別課程
④専門課程
⑤薬業新人社員合同研修会
などがあります。

詳細は郵便番号930-0018 富山市千歳町1丁目4-1「一社」富山県薬業連合会
電話番号076-432-2765(代)

私は、初日の午後からだけですが、他の研修科目は11人の薬剤師の皆さんが講師となっての研修です。他県ではまず出来ない内容です。これも300年の歴史と伝統を有する「置きくすり」の富山であるからこそ、又、医薬品の総生産額が国内ではトップクラスだから行政も「くすりの富山」と標榜するのだと思う。
この様なことから薬業の振興策の一環として、県の支援を受けて行われているものです。

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滑川高校卒業式

網しぼり きらめきつくす 蛍烏賊  高島学人

弥生3月に入り、富山湾の春の風物詩ホタルイカ漁が解禁となった。
昨年の初日の漁獲量は1.5㎏。今年は365㎏。昨年を大きく上回り今年は豊漁が期待できそう。

そんな中、新型コロナウイルス感染防止の為、県内の小・中学校は休校、卒業式も自粛が相次ぐ中、県下の高校53校が4日まで卒業式が行われた。
県立滑川高校卒業式は3月2日{月}午前10時より体育館において、卒業生、在校生、保護者、来賓が同席し実施された。また、国歌「君が代」「蛍の光」「仰げば尊し」「校歌」も例年通り歌われた。校長先生の決断には敬意を表します。

さて、いつも感動することですが
①生徒から卒業生への送辞。
「蛍の光」を在校生全員で斉唱し、代表が卒業生に対し、部活や生徒会活動を通して指導を受けた数々の思い出を語り、先輩が築いてきた本校の良き伝統を引き継ぐ決意と感謝の言葉でした。

②卒業生から在校生への答辞。
「仰げば尊し」を卒業生全員が斉唱し、代表が3年間の想い出を1つ1つ丁寧 に述べて、在校生、教職員、家族への感謝とお礼の言葉でした。
そして、時々涙ぐみながら、在校生には、滑川高校を更に発展させるようにとの願いと共に、様々な想い出を胸に新たな人生を歩んでゆく力強い決意表明でした。

③柳原校長は、朝生徒と顔を合わせた時の挨拶から始まり、先生に熱心に質問する姿など想い出を語り生徒の前途に幸多き事を願う言葉でした。

最後は、「Official髭男dism」というグループの「115万キロ・フイルム」の曲に送られて卒業生が退場しました。正直言って私は、グループ名も曲名も全く知りませんでした。何人かの人に聞いてみましたが、誰も知りませんでした。

後ほど先生から教えていただきましたが、やはり年齢の差を感じました。でも、新たな門出に相応しい素敵な曲で、選曲は生徒がするそうです。3月は別れの季節。やはり「蛍の光」と「仰げば尊し」は卒業式には欠くことの出来ない曲です。
この曲があるからこそ卒業式であり、この曲があるからこそ、式が厳粛な雰囲気になるのだろうと思う。出席して良かった。230名の卒業生の洋々たる前途が輝かしい未来であることを念じ、学校を後にしました。

写真は、卒業証書授与と式辞を述べる柳原英志校長。

<参考>
「蛍の光」
蛍の光 窓の雪・・・の歌詞は古代中国「晋」の学者車胤が、貧しくて油が買えないため、蛍を集めてその光で書を読み、同じく孫康が雪明かりで勉強したという故事からとったもので、勉強をしようと思えばどんな環境でもできることを意味し、「蛍雪の功」の言葉もそこから生まれた言葉であろう。
原曲はスコットランド民謡で、明治14年刊行の「小学唱歌集」に「蛍」の題名で発表されたが作者不詳である。
スコットランド民謡を敢えて翻訳しないで、「徳性涵養」の教育方針から、道徳的な詩がはめ込まれたという。滑川高校校歌二題目に「思え車胤の青春の・・・」とあります。

「仰げば尊し」
明治17年に日本で初めての音楽教材集「小学唱歌集{三}」に載っている。ところがこの歌の作者については、編集に関係した人たちの誰かだろうといわれているが、判っていない。
外国の民謡らしいという説にも根拠がなく、もし日本人の曲であるとしたら当時としては非常に珍しい西洋風の長音階である。戦後の一時期、卒業式にこの歌が歌われることに教師側が抵抗を感じたことがあったが、PTA側が卒業式はこの歌でなければ承知しなかった。
映画「二十四の瞳」でこの歌をテーマ曲に使い多くの人々を感動させたのも、この歌に対する感傷性が大きかったせいではなかろうか

{注}「蛍の光」と「仰げば尊し」は平成4年1月発行、CBSソニーファミリークラブ「心のうた、日本のうた」より

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